サザエをデッサン

人が立っていられるのは体の中心に骨があるからです、そして自由に動くためにその周りに筋肉がくっついています。貝は何を思ったのか他の多くの生き物とは逆に外側に人の骨に相当する貝殻をもつ構造をしてます、しかも貝殻は内側にある柔らかい筋肉を他の生き物から食われるのを守る役割をしています。よく見ると不思議な形をしたサザエ、くるくる巻いてところどころに角のような突起があって、でも同じような形をしていてもどこも均一でも規則的でもない複雑な表面の凹凸や色までまったく同じモノはないはずです。螺旋状にくるくる回っていく円の半径とほどよく太さが調和して全体を安定して見える円錐形に造っています、突起は自身を潮の流れに流されないように止めておくための合理的な位置にバランスよくついています。億単位の時をかけて自然が造った形は人の能力では創造できない機能的な美しさを持っています。

AI2のデザイン技術の授業、鉛筆デッサンです。サザエの渦巻き・螺旋形を含んだ自然形態を描写することでその構造を探る課題です。色鉛筆と水彩の着彩、画面構成(レイアウト)の学習につながり、陶粘土による立体作品へと繰り返されます。ひとつの自然形態を見つめることで発見や考えが浮かび、多様な表現方法を試みます。体幹を鍛える体力づくりと同じように心の幹を鍛えています。